首やわきの下、まぶたなどにできる小さな柔らかい「イボ」のようなできもの、それはアクロコルドン(スキンタッグ)かもしれません。
加齢とともに増えやすいこの皮膚トラブルは、良性であることがほとんどですが、実は注意が必要なケースもあります。
このコラムでは、アクロコルドンの症状・検査・治療法を皮膚科専門医の立場からわかりやすく解説し、「受診すべきかどうか」の判断材料をご提供します。
アクロコルドンの症状
アクロコルドンは、以下のような特徴をもつ皮膚の良性腫瘍です。
- 小さな皮膚の突起物(1~5mm程度)
- 色は肌色~褐色
- 表面はやわらかく、つまむと動く
- 痛み・かゆみは通常なし(ただし、摩擦や炎症で赤くなったり痛むことも)
アクロコルドンができやすい場所
- 首
- わきの下
- まぶた
- 鼠径部(足の付け根)
- 胸の下(特に女性)
これらの部位は皮膚同士がこすれやすく、摩擦が原因でスキンタッグができやすいと考えられています。
アクロコルドンの検査
アクロコルドンの診断は、基本的に視診(見た目)で行います。皮膚科では以下のような診察をします。
ダーモスコピー(皮膚拡大鏡)による観察
色調や構造が悪性でないかをチェック
触診
硬さ・可動性・圧痛の有無を確認
※まれに、アクロコルドンに見えて悪性腫瘍(基底細胞がん・有棘細胞がんなど)の初期であるケースも。特に急に大きくなった、出血する、形がいびつといった所見があれば要注意です。
アクロコルドンの治療
アクロコルドンは基本的に良性であり、放置しても命に関わることはありません。
しかし、美容的・機能的な観点や、他の疾患との鑑別のため、以下のような治療を行うことがあります。
小さなハサミによる切除
- 極小な有茎性のものに有効(おそらく一番キレイに取れます)
- 保険適用あり
炭酸ガスレーザー治療
- 有茎性ではなく平坦な場合に有効
- 精密でキレイに取れる
- 自費診療
外科的切除
- 大きなアクロコルドンや根が深いものに適応
- 局所麻酔で切除、縫合が必要なことも
※液体窒素による凍結療法
1回の治療でとれることは少ないため、除去するためには複数回の通院が必要です。
治療中に水ぶくれになる場合もあり、大きいものや多数ある場合には、不向きかもしれません。
受診の目安
以下のような症状がある場合、早めに皮膚科を受診しましょう。
- 数が増えてきた
- 色が黒ずんできた
- 急に大きくなった・形がいびつになった
- 出血やかゆみ、痛みがある
- 美容的に気になる(特に顔や首)
- 自分で取ろうとしたがうまくいかない
自己処理は感染や傷跡の原因になるため絶対に避けましょう。
アクロコルドンの予防法は?
完全な予防は難しいものの、以下のような対策が有効とされています。
- 肥満やインスリン抵抗性を改善する(スキンタッグと関係があるとされる)
- 肌に合ったスキンケア
- なるべく摩擦を避ける服装
- 紫外線対策
気になる際はご相談ください
アクロコルドンは命に関わる病気ではないものの、他の皮膚疾患と似ていることがあり、自己判断は危険です。
また、見た目の問題や、日常生活での不便さを感じる場合には、皮膚科での安全な治療が可能です。
気になるできものがある方は、お気軽に当院へご相談ください。
「これはアクロコルドンかな?」と思ったら、まずは皮膚科で正確な診断を受けましょう。